アメリカの医療がわかる良書です。
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アメリカの医療制度が実際にどんなものか、筆者は日本と米国の現役臨床系の教授である立場から、患者や保険制度の違いのみならず、医師の教育制度や生活の違いにまで刻銘に記載している。筆者は医療の市場化に反対しているだけではないようだが、日本に入ってくる米国医療の情報は、多くは一流会社の社員でないと契約困難な高価な医療保険制度の加入者のみが享受できる、米国でも一流水準の医療が日本では情報として入っていることの危険を指摘している。
現在の新臨床研修制度は米国の制度を模倣した部分が多い。しかしこの制度を少し導入しただけで大きく日本の医療制度は揺るぎ始めた。日本の医療に市場原理を導入するのはかなりの劇薬であり、慎重に導入する必要があるのだろうが、どのように導入していくか、判断材料としては最適の一冊である。