何度となくはかなさを感じさせ、ときには狂暴さも感じさせるこのハーパーの2作目は、リスナーの心を激しく揺さぶる。ハーパーの音楽は政治的なこと、社会的なこと、精神的なこと、個人的なこと、いずれのことを取り上げようとも、リスナーに自覚するように説いているのだ。けれども、ハーパーがそれ以上に関心を持っているのは、リスナーに答えをあたえることではなく、自ら答えを求めるように仕向けることだ。そうした幅広い意図を伝えるにはありとあらゆる音楽のスタイルが求められるが、ハーパーはさまざまな要素を組み合わせることで、まったく独自の音を作りだしている。本作の大部分は内省的なトーンに彩られているが、ハーパーのワイゼンボーン・ギターは、効果的な武器として活躍するだけでなく、リスナーの心を抱きしめ和ませてくれる。そして本作が最も静かになる瞬間でさえ、緊迫感とともに、絶望と希望までも感じさせる。（Marc Greilsamer, Amazon.co.uk）