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例解 現代英語冠詞事典

価格: ¥3,570
カテゴリ: 単行本
ブランド: 大修館書店
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なーんだ、そうだったのか、と分かる本 ★★★★★
この本は、英語の冠詞に関する疑問の多くを解消してくれる本である。

私なりに要約すれば――

「冠詞がどう使われるかは、話者ないし書き手が世の中をどう見ているかによって決まる」

ということを喝破した本である。

たとえば、ある名詞が不定冠詞(a, an)をとるかとらないかは

■話者ないし書き手が、あるものを「姿かたちをもっている」と認識すれば「a,an」 がつき、
そうでなければつかない――。

■すなわち、単語の一つ一つについて、「これは可算名詞」、「これは不可算名詞」といったように
内在的に決まっているわけではない、ということだ。

定冠詞についても、同様の明確さをもって、かつ豊富な実例をもって、説明がなされている。

私はもう40年以上も英語と格闘してきたが、このようなことを明確に、かつ体系的に教えてくれた本は初めてだった。

レファレンスとして参照してもよし、通読してもよし。

このような大変な労作を著された著者に敬意を表したい。
冠詞に関する最高の参考書 ★★★★★
日本人が英語を学ぶ上で、いちばん困るのが冠詞です。中学では、「数えられる名詞の単数形にはaをつけるが、数えられない名詞にはつかない」とか、前に出てきた名詞にはtheをつけるなどと習いますが、この程度の理解では、自信を持って冠詞を使うことはできません。特に困るのが、同じ名詞なのに、aがついているときと、ついていないときがあることです。例えば、fare(運賃)は、辞書では加算名詞とされているのに、Children of twelve up must pay full fare. (12歳以上の子供は全額料金を払わなければならない)のfareにはaがつきません。また、experience(経験)は、辞書を見ると、不加算名詞が中心で、1つ1つの具体的な経験は加算名詞扱いなのですが、こうした違いもよくわかりません。このように、冠詞に関しては、辞書をよく読んでも、aのあるなしに関して決め手になるような情報はなかなか得られないのが現状です。

そんな日本人の冠詞学習にとって救世主となるのが、「例解 現代英語冠詞辞典」(樋口昌幸著、マイケル・ゴーマン協力 大修館書店) です。この本のすばらしいところは、徹底した用例主義を貫いているところです。主な名詞について、冠詞がつく場合とつかない場合を並べてのせ、その違いがよくわかるようにしてあります。

この本は、場当たり的、感覚的な説明を排し、論理的かつ体系的に書いてありますから、この本の理論体系を頭に入れ、次に自分が英語の本を読むときに、この冠詞は「冠詞辞典のあの理論だな!」と頭に思い浮かぶようにすれば、冠詞の悩みの多くが消滅するでしょう。
英会話の先生を試してみよ ★★★★★
「ネイティブでも論理的には説明できない」「いろんな文章にあたって慣れろ」が通説であった冠詞の用法。7つの原理を使って冠詞つき用例と無冠詞の用例を常に対比させることによって解説。
辞書としても参考書として通読しても使用することができる。
語学学習ではまりがちな時間の無駄をかなり省くことができる。

冠詞の説明もできないネイティブにごまかされながら会話を学ぶくらいなら、本書を精読し、例文を音読したほうがためになると思う。
上級者向け。 ★★★★☆
TOEIC900点を超えた頃からぶつかり始める冠詞の壁。
巷の羅列式教本では、上級者であればあるほど、理解に苦しむケースが多いのではないかと思う。

この本の良い所は、まず用例が豊富であること。「様態」を示す冠詞について著者の説明を頭にインプットしてから、用例を繰り返すことによって、冠詞が体得できるというシステムだ。ネイティブと同等の英語センスを身につけることは相当困難であるが、結局、数多くの用例に触れ合っていくことしか道はないのだ。

また、使用されている例文の質が非常に良いことも評価したい。

本書を読み進めるほど、冠詞の奥深さが分かる。
英語は奥深く、難しいことを改めて痛感させてくれた著者に感謝したい。

星4つにしたのは、レイアウトや読みやすさの点で、改善の余地ありという判断から。
まず、説明が学術的すぎて、私の場合は読むのに時間がかかった。
それから、スペースの理由から、固有名詞等を省略する記述は構わないのだが(例えば、和訳部分は人名をイニシャルで表示するなど)、例文中では控えてほしい。例えば、someone まで略して、When you tell s.o. とした例文では余計読みにくく、思考が分断してしまう。

通読すべき「例解現代英語冠詞辞典」 ★★★★★
  私は技術文献の英訳を生業としている。英語を書く日本人は誰でもそうだが、冠詞の扱いにはほとほと苦労している。

  数年前、織田稔「存在の様態と確認 -英語冠詞の研究-」風間書房(およびその改訂縮刷版「英語冠詞の世界」研究社)に出会い、冠詞に関し大いに蒙を啓かれた。そうだ、冠詞は存在の様態を表現しているのだ。

  そしてこの樋口昌幸「例解現代英語冠詞辞典」の登場である。これもこの世界における「物」の在り方という角度から冠詞を説明する。樋口の場合は、「名詞が冠詞をとるためにはそれ自体で完結した姿かたちをもつ」を基礎として冠詞論を展開する。これを意味の有無、姿形の有無、働きの有無、限定と非限定、抽象概念と個別事情、a/an+複数形の6つの原理を通じて説明する。こう書くとなにやら難しそうだが、豊富な例文を読み進むにつれおのづと理解できる。

  従来の文法書では、たとえば普通名詞には冠詞が付くが抽象名詞や物質名詞には付かない、新聞名には定冠詞が付くが雑誌名にはつかない、ホテル名には定冠詞が付くが、病院名はイギリスでは付くがアメリカでは付かない、など、とくに定冠詞の大部分は丸暗記するよりしかたなかった。しかし織田と樋口の哲学的とまで言える解説によって初めて英語冠詞は日本人にとって理屈で理解できる姿を現したのである。

  真剣に冠詞の理解を志す人には、織田と樋口の両方を通読することをお勧めするが、実用性を求める人は樋口だけでよいだろう。ただし冠詞感覚を身につけるためには、「例解現代英語冠詞辞典」はレファレンスとして使用するのではなく、通読すべきである。また本書は通読によく耐える。通読の暁には、それまでより英文の読みが深くなり、書くときは冠詞の迷いからかなり解放された自分を発見するだろう。