その最良の部分において、本作は『The Bends』をリリースした頃のレディオヘッドを連想させる。ヴォーカルを担当するトム・チャップリンの声は、クリス・マーティンのかすれた涙声よりトム・ヨークのファルセットに近い。ヒット・シングルとなった「Somewhere Only We Know」を始めとするトラックで、キーンは持ち前の無駄のないサウンドに、壮大で感動的な調べをどうにかねじ込んでいる(これはプロデュースの優秀さに負うところが大きい)。全12トラックを通して聴くと、ジワジワと攻めてくるメランコリーにうっとうしさを感じる部分もあり、もう少し茶目っ気があってもいいのにという気がする。しかし、その点を差し引いても、この『Hopes & Fears』が注目に値する1枚であることに変わりはない。明るい将来を約束された若手バンドによる、驚くほど成熟したデビュー・アルバムだ。(Robert Burrow, Amazon.co.uk)