辞書と文法書とこの一冊があれば怖いものなし!
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この本の内容は前後半の二部仕立て。前半は作文の考え方について、「彼は若い。」という例文での属詞の構成から、一般的な句読点の用法にいたるまでのそれぞれの注意点について、様々な例文を間に挟み、よくある間違った文の書き方、一つの表現のいくつかの表し方とその使用頻度の違いなどについて、事細かに、しかも簡潔にわかりやすく説明してあります。そして後半はフランス語の考え方について、たとえば「感覚の日本語と分析のフランス語」の箇所では、擬音語に関する表現の違いを谷崎潤一郎の『細雪』の原文と仏訳と参考としての英訳を例文に用いて、詳細に解説してあります。そのように、豊富な例文を用いての説明ですから、内容はページ数の二倍にも三倍にも感じるくらいのものです。始めたばかりの初心者にも、自信のある上級者にもお勧めできる内容です。読み物としても、文法書の補足としても手放せなくなりますよ。