アスパー優しいの。
★★★★★
これはすばらしい本なのですが、
まだレビューが1つもないことにちょっと驚き、
これは普及しないともったいないことだと思って自分が最初に書くことにしました。
ユング派で自己愛の障害を扱った本は、
古くはフォン・フランツの『永遠の少年』『男性の誕生』、
最近ではマリオ・ヤコービの『恥と自尊心』『個性化とナルシシズム』『楽園願望』
なんかがありますが、
アスパーは彼らより患者のことを深く理解しているように思いました。
私はまさに典型的な勤勉すぎて破滅しやすい感じの、日本人っぽい自己愛性の障害を患っていますが、
フォン・フランツの本は説教されてるようで身を切られるような感じで(厳しいいいおっかねえええ)、
ヤコービーは扱う範囲を広げ過ぎてポイントがぼやけ、治療に役立つ記述も少ない(結局どうすればいいの)、
それに対して、
アスパー分りやすいの。
アスパー優しいの。
アスパー痒いところに手が届くの。
アスパー分ってくれてるの。
アスパー具体例も豊富なの。
全体的に役に立つことばかり書かれていたけれど、
アダルト・チルドレンの本でいうところの、《内なる子ども》やら《傷ついた子ども》やらと対話するということやその重要性が、
どういうことなのかがよく分ったのが最も大きな収穫だった。(大人の水準と子どもの水準を述べているくだり)
また、「健全な自己愛」も「病的な自己愛」もナルシシズムと呼ぶ学者さんが多いのですが、
老松さんの訳文では《(健全な)自己愛》と、《自己愛の障害》と慎重に区別して書いてくれているので、
この種の本にありがちな混乱がほとんどなくて、読みやすいです。