難しいけど楽しい
★★★★★
はじめ中山恒夫先生の教科書・問題集に着手するも全く身に付かず挫折。そこでこの本を丸暗記する積もりでやってみたらラテン語解り始めました。確かに練習問題の解答もなく、6課ぐらいに高い壁がありますが修行と考えて学習続けると、なんとかなるはず。(隅から隅まで辞書引き引きになりますが)
タイトルに欺かれてはならない
★★★☆☆
タイトルには「独習者のための」とありますが、独習者はこの本を選んではいけません。あくまでも、先生について学習する方が教科書か副読本として使うためのものです。300ページ足らずで一通り文法事項を解説するのは無理があります(比較的コンパクトにまとまっている"Teach Yourself Latin"でも370ページ弱、"Wheelock's Latin"では約500ページあります)。
「独習者のための」であれば、練習問題に解答を付けるべきですし、教科書なら「独習者のための」というタイトルにすべきではありません。
なるべくラテン語原文を使用しようとしている点は評価できますが、わかりにくい点は敢えて、"Wheelock's Latin"のように加工した上で出すべきだと思います。
評価は教科書としてなら「5に近い4」ですが、「独習者のための」であれば限りなく1に近いので「3」にしてあります。
評判どうりの名著
★★★★★
末尾の接続法関連7課を除く、すべてを二度読み終えた。骨の折れる教科書だった。書名「楽しく学ぶラテン語」は冗談だろうと思った。スイスイと読み進めないのは導入されている例文がHoraceでありVagilでありキケロだからだ。他の方もいうように、キケロやカエサルはなにもラテン語初級者のために文章を書いたのではないのである。
本書の姿勢は、川を渡るのに、手を取って向こう岸まで連れていってくれるというものではない。例文を詳しく説明するでなし、練習問題のラテン文にも解答はない。自分で読み納得するしかない。しかし読者は次第に本書にちりばめられている文例に魅了されていくだろう。簡潔でかわいたカエサルの文章があり、精巧なキケロの短文があり、アエネーアースの裏切りに怒り狂うカルタゴ王女の嘆きを読むことができる。思うに、本書の最大の魅力は初級教科書には異例な数の多彩なラテン文を収録している点にある。
「株のことは株に聞け」という。ラテン語のことは、できるだけ多くのラテン文に当たるしかないのである。
少し金がかかるが、岩波の「ギリシア・ラテン引用語辞典」、国原吉之助「古典ラテン語辞典」があれば学習ははかどる。練習問題のセネカなどは、大体収録されている。さらにカエサル「ガリア戦記」
キケロ「老年について」「友情について」、本書で頻繁に引用される「恋の病の治療法」(Ovidius)
藤井昇訳、「アエネーイス」などの訳本を備えれば、鬼に金棒、本書の練習問題にも安心してとりかかることができる。
当初はすこぶるとっつきにくい教科書だったが、いまでは手放せない。しっかりしたクロス装丁なのも好もしい。続巻「ラテン語文選」のほうは安っぽいpaper-backなのが惜しまれる。
書名のとおりでした
★★★★★
人工的な例文ではなく、古典作品そのもののためか、飽きません。
忍耐は必要ですが、例文を文法的に納得のいくまで読み込んでいけば、無理なく学習をすすめることができます。
学習課程や例文の配置が絶妙です。早くも、6章「第一第二変化形容詞」の「Parva necat viro spatiosum vipera taurum」という例文で、「こりゃ、変化形をしっかり覚えないと、いけない!」と思い知らされます。
各章の例文そのものには、日本語訳しか付いていません。その章の本文で文法事項を学んで、再び例文にもどり、自分の理解度を自分自身で確かめるように、というのが著者の意図のようです。
とにかく、自分で納得のいくまで学ぶという姿勢が読者に求められています。
練習問題の解答例はありませんが、これはこの本を学校の教科書とした場合にと、用意されたものです。独習者には「自分の理解度に自信があれば跳ばしてしまってもいいでしょう」とされています。
装幀は、立派なクロス装の上製本です。本文も活版なので、制作経費はかなりかかっているはずです。和文の部分の組み方がちょっと変ですが、欧文の組み方はきれいです。買った当初は、なぜ、こんな装幀にするのか、並製(ペーパーバック)にすればもっと安くなるのにと思ったのですが、読み進むにつれ、上製である意義が分かってきました。
独習ゆえ、長期にわたって読み続けることになります。私は通勤時に読んでいるのですが、2年ほど毎日、持ち歩いても壊れないのです。丈夫な造本である理由はここにあるのだと思います。
独習者にはむつかしすぎる
★★★☆☆
大西英文の「初めてのラテン語」が非常におもしろいかったので、そこで推薦されていた本書を購入したが、本のタイトル通りに独習者に向いているとはとても思えない。まず、本書では例文が、立派な名文や美文なのかも知れないが、どれも難しいものばかりである。たとえ文法の基礎が分かっていてもすぐに難しい文が読めるわけではない。その前に多くの易しい例文をこなす必要があると思う。ここの例文は難しい文であるにもかかわらず和訳をつけているだけで、それぞれの文に文法的な説明がない。また、ずっと後にならないと説明していないような難しい文法的な例が最初の方に出てくる。これは例文として名文を載せる必要から避けられなかったのかも知れないが、入門書では決してやってはならない事である。学ぶ者を惑わせ、学習意欲をそぐ事になるからである。また、多くの練習問題が掲載されているが、模範解答がない。模範解答を載せないならばそんな練習問題はない方がよい。独習者には自分の答えが正しいか分からなかったり、間違った答えを正しいと信じることもあるからだ。さらに、かなりのスペースがラテン語の歴史やラテン語に関わるいろんな話題に費やされているが、練習問題と同様、それらのスペースを、もっと多くの易しい例文と、それらの文法的な解説に当てた方がはるかに役に立っただろう。