戦争における「陸軍悪玉・海軍善玉」という俗説を丁寧に粉砕する本です(もちろん陸軍善玉にはなりませんが)。大正期の日英同盟消滅以降、海軍の親独派が増えていきますが、この本では、明治期から海軍にも親独派が存在していたこと(山本権兵衛、伏見宮博恭王という超大物!)が指摘されています。また支那事変において米内光政は、陸軍の拡大派以上に拡大することを主張していたこと、米内らの三国同盟反対は、英米との協調というよりは「北守」であったこと、などなど、一般的な海軍像を払拭する(私にとっては)新情報、見解で満ち満ちています。
阿川弘之氏など海軍出身者がマスコミに影響力を持っているため、「海軍は紳士だ、スマートだ」「海軍は陸軍に引きずられた」といった海軍礼賛が一般的海軍観となっていると思いますが、それを払拭する本です。