「フィールドガイド」という名になっているが，かなり充実した内容の図鑑といって良い．関東近辺の干潟で生物を観察したり採集する時には，非常に便利な一冊．ちょっと他では見ることのできないような，生きているゴカイ類の鮮明な写真も数多く，高校の生物部〜生物系大学生のテキストとしても役立ちそうだ．挿絵は，正確であるだけでなく，通常図鑑に載っている絵とは違うポーズで描かれているものが多く，生物の表情を感じさせてくれる．私は特に，コメツキガニの絵が気に入った．額に入れて飾りたいほどだ．解説も分かりやすい．最後に，全国各地の干潟についての解説があるのも嬉しい．

星１つ減らしたのは，随所にとってつけたような子どもっぽい表現が入っているためだ．全体との調和が取れていないのが残念である．また，挿絵にも「実物はこの大きさです」というシャドウが付いていたりするが，大きさなら端の方にスケールを入れるか，文中でちょっと触れれば良いだけではないだろうか（シャドウで画面がうるさくなってしまっている）．この辺はもしかすると，著者や編者ではなく，編集の問題かもしれないが．