50年代、マイルス・ディヴィスのサイドマンとしてジャズ・シーンの注目を集めたジョン・コルトレーン。のちに独立し、自らのジャズスタイルを確立させるべく、さまざまな方法を模索していた。このアルバムはそうした試みが実を結び、新時代のテナーサックス奏者コルトレーンの革新性が誰の目にも明らかとなった、記念碑的アルバムである。
アドリブの基本原理となるコードチェンジを極限まで押し進めた、きわめてメカニカルな演奏は、当時のサイドマンには演奏が困難だった。途中でメンバーの交代も行われた結果、生まれたのがこの作品だ。しかし、聴いてみると実にスムースに演奏が展開されており、何度か聴けば音楽が論理的に構築されている様子がわかってくる。完成度の高い作品だ。(後藤雅洋)
疾風怒濤の如き音の奔流。コルトレーンのスタイルを完成させた重要作品
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コルトレーンがマイルスやモンクと共演した後、アトランティックに移籍して、あの有名なレギュラー・グループを持つ前の時点、59年吹き込みの名盤。静謐な名曲ネイマもあるが、多音でとにかく奔流のごとく吹きまくるコルトレーン自身の演奏スタイルは本作で確固たるものになったと言えるだろう。全曲自作のコルトレーンのアルバムはこれが最初であり、まさに大いなる足跡をしるした傑作だ。
リズム隊の演奏はかすみがちだが、コルトレーンのテナーの音に関しては、遅咲きの天才が遂に完成させた「シーツ・オブ・サウンド」に対する自信と確信に満ちている。後年の求道者のような感じはないが、そこが本作の特徴として好ましいと言えるだろう。
本エディションの高音質には大満足だ。
タイトル曲はパット・メセニーがギター・トリオでカヴァーしており、そちらも是非聴いてみて欲しい。
やっぱり、JAZZの金字塔!です
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言い尽くされている作品なので、いまさら、こんなこと言うのは何ですが、本当に、あなた、人生で、一度でいいから、聞いておくべきです。これで、人生変わった なんて人 何人いるか知りませんが、少なくとも、私は変わりました。JAZZ喫茶 なんてのがいっぱいあった、いい時代(?)にすごした人もいるでしょうが、そうでない方は、レンタルでもいいから(失言)聞いてください。カズンメリーの別テイク どうしてコレが本テイクにならなかったのか、不思議でしょうがありません。別テイクが聞けて、この値段。昔、オルタネイトテイクスといういうアナログLPレコードも買いましたが、あなたは、このCDだけで聞けて幸せ、と思うかもしれませんが、NGです。残念です。アナログも捨てがたいです。ぜひ、ゲットしてください。
ジャズはコルトレーンだけで充分!
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先生方、少なくともこれを聴いてる時はそう思わんか?何故なら....
●この激しい演奏に理屈抜きに興奮しねぇのか?
●これに収録されてる曲(全てオリジナル)のほとんどが名演であり、同時に名曲だ。それこそが真の名盤だと思わんか?
(1以外にも名曲だと思うのが2と5。初っ端の「あのフレーズ」が妙に印象に残らんか?)
●やっぱりtpやssやasよりもtsの音の方が身体に響くので聴いてて気持ちが良いんだよ!
●さらに強烈な音圧のベースがブンブン腰を直撃する!
(よってポール・チェンバース好きには絶対お勧め!これよりベースが強いアルバムがあったら教えて)
※しかしドラムの音がやや小さい(というかシンバル中心のプレイでスネアをあまり叩かない)のが残念。
(この唯一の欠点が無ければ「至上の愛」とどっちが好きかで悩む事もないだろうなぁ...)
※ちなみにボーナストラックの別テイクは音の配置が全然違います(左→dr,p 右→b 中央→ts)
個人的には、主役がど真ん中に位置してピアノとベースを左右に振り分けたこのmixの方が好きだ !!
(しかしトレーンの演奏の完成度や勢いと迫力は劣る。元々スローな曲はそれほど変らないと感じるが)
巨人と小人
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John Coltrane(tenor sax), Tommy Flanagan(piano), Paul Chambers(bass),
Art Taylor(drums) 録音:1959年5月4日, 5月5日([1]-[5],[7])
John Coltrane(tenor sax), Wynton Kelly(piano), Paul Chambers(bass),
Jimmy Cobb(drums) 録音:1959年12月2日([6])
実に緻密で、計画的に裏打ちされたインプロヴィゼーションは音のシャワーのように聞く者を
圧倒するんです。このテナー、そんじょそこいらじゃ聴けまへん(笑)。
全曲、トレーンのオリジナルだが、そのバラエティの豊かさにはただただ脱帽です。
まず1曲目タイトルトラックの「Giant Steps」は巨人が疾駆するごとくダイナミックかつ震動
を感じさせるね。まだんないわけよ音が、、
[2]の「Cousin Mary」はすこぶる軽快!テイラーとトレーンが競争でもするように曲の展開を
加速させていく[3]の「Countdown」。そしてSIDE Aラストの「Spiral」ではアドリブの渦に
巻き込まれて気を失って終了。
そしてSIDE B先発の「Syeeda's Song Flute」の妖しげなフレーズ、いいようのないリズムで
否が応でも起こされ、ウィントン・ケリーの澄み渡る感傷的なピアノが印象的な「Naima」に
続く、、ラストはそのま〜んまの「Mr. Paul Chambers」でわかりやすく幕切れ。
いやお腹いっぱいです。ごちそうさま。
僕はこの一枚はジャズ初心者リスナーにお奨めしますね。なんといっても「わかりやすい」か
らです。これほどわかりやすい一枚はあんまないねぇ。というのはJazzは本質的にはどの音楽
よりも単純だけど、どの音楽よりもわかりにくいんです。ただこの一枚は難しい理屈、理論さ
え気にしなければこれほど聴いてて楽しいもんはないんですよ。
だから僕がコレを評価する時に、やっぱJazz本質の概念より、「ジョン・コルトレーン」、
「ジャイアント・ステップス」というひとつの行き着いた表現方、具現化された作品としての
評価で☆5つですね。間違ってもトレーンの全作品の中で僕の中のベスト5には入らないんです
よ。ただね、ただ、、このねストイックすぎる忍耐力、あくなき追求心の前ではね、僕はいつ
も小人の気分になるのも確かなんです。。
シーツ・オブ・サウンドの完成
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1959年5月4日・5日・12月2日録音。
コルトレーンは1955年に一度マイルスのコンポに無名ながら加わったあと、ほんの数ヶ月だけ1957年にセロニアス・モンクのカルテットに参加する。ここで『シーツ・オブ・サウンド』のヒントをモンクの暗示により掴んだと言われている。つまり、2つあるいは3つの音を同時に演奏する方法とリズムをいくつにも等分する方法である。かくて1958年にマイルスのニュー・セクステットに返り咲いた時、その驚異の素質は花開いていたのである。
1959年にリーダーを取った本作ではまさにシーツ・オブ・サウンドは桜花爛漫である。ないのはソプラノ・サックスだけだ。
この偉大なる一歩は生涯前進しつづけるコルトレーンの技術的基盤であって彼の作品群を聴く上で絶対欠かせない一枚である。