一言で飛行機が墜落したといっても、その要因は様々で、些細な部品一つの異常から、人為的なミスまで多種多様である。しかも原因は分かりにくく、大抵は顕微鏡などを使わなければならない。更に、事故原因になった物は、残骸に埋もれていて、探すのにも苦労する。著者はNTSBの調査員で、自分の仕事を「ブリキ蹴り屋」と呼ぶ。墜落した飛行機の無数の残骸の中を、うろつきまわるのでこう呼ぶのだ。
本書は、ケース毎に記述されており、大体、7ケース程の事故が解説されている。どの事故も現場は凄まじく、よく事故原因を探し出したなと感心してしまう。
読み終わった後「つらい仕事だが、本当に飛行機が好きだから、二度と悲惨な事故を起こさせたくない、そういう思いがあるから、この仕事を続けられる」という著者の言葉が胸にしみた。
飛行機が好きだと、言う方は、読んでおくべきだと思う。これを読んでも、飛行機が好きだと言えるのなら、真の飛行機好きである。読者の飛行機好きが試される。
一方、飛行機好き以外の方でも、十分に楽しめる。事故原因を探っていく様は、推理小説に似ており、引き込まれていく。