なんとも……
★★★☆☆
『通話』を読んで、こんなにおもしろい作家がチリにいたのかと衝撃をうけた。
登場人物たちの、つながっているようなつながってないような人間関係が不思議なのだ。
チンと切ってしまえば切れてしまうのだが、ラインはどこかで彼らを結びつけている。
「電話」のような人間模様なのである。
期待を大にして長編『野生の探偵たち』を読んでみた。
正直、読むのが少々苦痛であった。
性の臭いの充満する人間模様があまりに暑苦しく、ページをくる手が思うように動かない。
日記とインタビュー形式で話はすすんでいく。
何十人もの人物の語りを書ききるボラーニョの力量には感服するし、
ラテン世界の「詩」の力のようなものは熱く(熱すぎるほど)感じる。
個人的にはボラーニョの詩をもっと読んでみたい。