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タッソ エルサレム解放 (岩波文庫)

価格: ¥1,197
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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努力賞、ですね ★★★★☆
 イタリアの大古典の翻訳は絶対数が不足しているので、たとえ抄訳であれ、こういうお仕事は大変結構です。というか、現にイタリア本国でも本書の底本のようなアブリッジが流布しているわけですから、日本人が律儀に全訳を読む義理もなく、そも全訳されたってこの種の文学はあまりに冗長で退屈にすぎるゆえ、縮約版というのは結果として良い選択でした。
 また、有名な作品だからといって推し戴く必要もなく、少女漫画、宝塚、あるいはハリウッド映画の原作になっても全然不思議ではないストーリーなので、われわれはただ楽しめばよいのです。クロリンダあるいはアルミーダにどの女優を当てようか、などと想像しながらね。
 翻訳の文体について一言。漢語の多用がやや「こわばり」を生んでいるような。「幽玄の森」などと言わずとも「かぐろき森」くらいでよいと思いますし、「生き様」なんて醜い言葉は願い下げです。いまひとつ彫琢不足ということで、星四つ。
 
イタリア文学の大古典だそうな ★★★☆☆
正式なタイトルは「トルクァート・タッソの原文にアルフレード・ジュリアーニの語りを交えた長編叙事詩抄」。
全20歌1917連のうち、674連を選び、それらを現代イタリアの詩人ジュリアーニの語りを途中途中に加えて19のエピソードに再編されたもので、ジュリアーニの語りとタッソの詩が交互に出てくる構成になっている。
ちなみに読んだ感じでは、第一次十字軍のエルサレム攻囲戦を題材にしているものの、史実的にはどうなの?という感じで、例えばイスラム側の王がアラディーノ王って、これってサラディンのことだよね、うーむ。
図式的にはキリスト教万歳な、そしてイスラム教側には魔女や魔術師や悪魔が加担っていう露骨なまでの勧善懲悪モノだった。
ただし、一概にそう言い切れない部分もあって、確かにストーリーの流れ上、キリスト教の勝利を高らかに歌い上げてるけど、詩人の興味はどちらかと言うと恋人達のラブシーンにあったらしく、そういう意味ではこの戦いの凄惨さ(エルサレムに来るまでに人肉を食していたり、エルサレムを陥落させた後は無差別に虐殺したり等々、十字軍の「栄光の数々」を)やダークな部分は全く描かれてない。書き上げたあと、異端審問所に懺悔に行き、さらには多数の神学者・哲学者・文学者に校閲を求めたらしい。だから、ミルトンやバニヤンほど護教的な臭みは少ない。とはいえ訳者が書くほどキリスト教的な枠組みから抜け出ているとは思えないけども。
アルフレード・ジュリアーニは、グループ63という前衛的で反体制的な文学集団に参加(エーコも参加)していた現代イタリアの作家・詩人・文芸評論家で、2007年に亡くなられたとのこと。この本は、1970年にエウナウディ社より出版されたものだそうな。

カサノヴァが愛好したアリオストの「オルランド狂乱」が同様の形式で近々出版されるとのこと。
ついにやってくださった!! ★★★★★
 ダンテ、アリオスト、ボッカッチョ、ペトラルカと並ぶイタリア・ルネサンスの旗手にして大詩人、トルクワート・タッソー。かのゲーテも戯曲化している波乱万丈な人生を送ったこの詩人の著作は、その世界的な文学的地位の高さにも関わらず、わが国では1987年に岩波から出た(2000年に重版)鷲平京子さん訳の「愛神の戯れ」以外に入手できそうなものがなく(それすら聖地八重洲ブックセンターで奇跡的に発見した)、また代表作である本書「解放されたエルサレム」も、ネットで検索しても部分訳がヒットするくらいで独立した書籍の形では手に入りませんでした。それがついに!!ついに邦訳が(全訳ではないとはいえ)、文庫で手に入る時がやってきました!!待っててよかった・・・訳者の鷲平さんに大感謝!!本当にお疲れ様でした!!
 岩波さんと諸研究者の方々にはこの調子で、コルネイユの「ル・シッド」とか、ペトラルカの「カンツォニエーレ」とか、シラーの詩集とかの入手困難本を(できれば完訳で)バッシバシ刊行していただきたい・・!私は100パーセント買います。
 ともあれ、イタリアが誇る古典の名作、まずは存分に堪能させていただきます!