実はシロウトにもめちゃくちゃおもしろい!
★★★★★
シロウトの立場から一言いわせてください。
僕は楽譜は読めませんが、この楽譜は追えます。
読めないという人にこそ、この楽譜を薦めたい。
交響曲の楽譜は一見とても複雑です。分量も多いです。
なぜそんなものをシロウトに薦めるか。
それは、スコアはルーズな読みを許容するからです。
一音符一音符を確認しながら笛を吹くという教育を受けている私たちにとって、それは新たなる体験です。
多数ある音符をグループとして捉える読み方をしてください。楽譜を読む快感を味わえます。
第5番の第1楽章はヴァイオリンに注目したら読みやすいです。
特に第4楽章はシロウトが非常に楽しく読める楽譜です。
シロウトが初めて読むのにちょうどいいレベルだと思います。
ぜひとも第4楽章を聞いて読んでください。
歓喜の咆哮の裏に隠された精密な構造を見ることができます。
そして、これを読んだら第7番の第4楽章にも手を伸ばしてみてください。
同じく熱狂の渦のような音楽ですが、その構造は一見してかなりシンプルなものだと感じるはずです。
そんなことを感じれたらシロウトとしては上出来ではないでしょうか。
岡田暁生『西洋音楽史』では、芸術音楽を「楽譜として設計された音楽」と定義しています。
しからば、楽譜を読むことは西洋芸術音楽の本質に触れることだといっても過言ではないのではないでしょうか。
「紙の上で音の設計図を組み立てるという知的な性格を強く帯びているのが、芸術音楽である」ことを、このスコアをたどって身をもって理解してみましょう。