高笑い
★★★★★
世にもまれな、終りで始まるこの曲は、従来より先達作曲家の枠にとどまっていると言われてきた。しかし、見方、聴き方を変えると、そうした枠にとどまるどころか、それらを笑い飛ばしている作曲者をそこに見ることが出来る。まず、先に書いた冒頭の部分。これは先達の影響に終止符を打ったものと見るのは穿っているだろうか?全曲を通じて旋律は非常に単純なものばかりであるが、それを支える伴奏が秀逸。決して表立って目立つようなことはないが、陰から恐ろしいばかりの推進力を生み出し、単純なものに生命を吹き込んでゆく。そして、もっとも笑えるのが四楽章。大袈裟なアコードで始まるので何かと思って聴き続ければ、音階の出し惜しみが始まった。最後は高笑いで大団円。実は副題に「大爆笑」なんてのがついていたと思ってしまうのは不遜であろうか?是非ご覧ください。