元レーサーX、MR.BIG の凄腕ギタリストと言うよりも、むしろ最近は LOVE LOVE ALL STARS のメンバーだったちょっとおもしろい外国人といったほうが通りがいい（？）ポール・ギルバート。本作は97年にソロに転向した彼のベスト・アルバム。かつて世界最速と謳われたギター・プレイも、ビートルズを愛して止まないポップ・センスも、クラシックから学んだインテリジェンスもすべてここに詰まっている。いい意味で音楽バカと言うか天然と言うか、天真爛漫すぎる音楽への愛情が目一杯感じられる作品だ。そして、注目は3曲収められた新曲のうちの1曲、キャロル・キングの「空が落ちてくる」のカヴァー。この名曲を、ブルージーなハード・ロックにアレンジしている。初回限定盤のみ、アコースティック・アルバム『ギルバート・ホテル』（全10曲）とのカップリングだ。（山口智男）