星野道夫の伝える世界
★★★★☆
愛って何かしら…人間の記憶を遡ったら、こんな愛が見えてくるのかもしれません。
親子、カップル、兄弟、動物達の触れ合いが、この写真集には、瑞々しく初々しく写し出されています。
彼らは何の苦悩もなく、極北の地で、ごく自然に引かれ合い、体を温め合っています。
どうして人は生きているの?
そんな問いに星野さんは優しく答えてくれているような気がします。
ここに写っているのは、もしかしたら、私達が忘れてしまっている、一番思い出したい記憶なのかもしれません。
星野さんが伝えたかったのは、動物に限られた世界ではなく、人間が本来持つ優しさそのものでもあると思う。
動物でもあるけれど人間でもあるという責任を、人はこれからどうやって乗り越えていくのだろう…。
本を読み終えて、ふと、思いました。
この生命の不可思議を、今は亡き星野道夫さんと見つめ続けていきたいと思います。