アラスカの自然の素晴らしさを目で味わいながら、深い思考の末に絞り出される言葉をかみしめる、味わい深い本
★★★★★
この本は1996年にヒグマに襲われて急逝した写真家・星野道夫さんの写真と言葉を再編集したシリーズ「Michio’s Northern Dreams」の第三冊目である。英文のタイトルは“Last Eden”、星野さんがその魅力を追い続けたアラスカの自然、そして彼の思索の一片に触れることが出来る一冊だ。こんなにも美しい自然が、力強く生きる動物たちが、我々と同じ地球上に息づいていることに、気づかされる。
弱肉強食に見える自然界のなかにある偶然性、弱い者さえも包容する大きさ…星野さんの言葉は深い思考の末に絞り出される一滴の重さがある。そして時折、自分自身が考えつつも曖昧だった思いを的確に言葉にしてもらったような不思議な喜びを感じさせてくれる。いい本を見付けた。