1990年代初頭に行った数か月にわたる調査と、ヨルダン川西岸とガザ地区への長期にわたる訪問で、サッコはパレスチナ人とユダヤ人100人以上をインタビューした。その記録に基づいた本書は、初のコミック・ジャーナリストとよばれるサッコの政治・歴史的ノンフィクション漫画の初期の主要作品だ。
サッコの洞察力にみちたルポルタージュは最前線の活動から生み出された。にぎやかな市場が銃撃戦と催涙ガスで破壊され、感情のおもむくままに兵士が市民に暴行を加え、ジャーナリストが逃げる間もなく道路封鎖が行われる。サッコは囚人、難民、反政府主義者、傷ついた子供たち、土地を失った農民、パレスチナ紛争でばらばらになった家族を取材した。
1996年に『Palestine』に第17回アメリカン・ブック・アワードを与えたビフォア・コロンバス財団は「アメリカ文学に対する優れた貢献」を称え、出版元であるファンタグラフイックス社は「品質に対するこだわりと、短期的には採算がとれるかどうかわからないすばらしい著作とその著者の作品を出版するリスクを、あえておかす姿勢」を賞賛した。
この新版では、著名な作家・批評家であり、『Peace and Its Discontents』を著し、中東紛争の世界的権威として知られる歴史家エドワード・サイードによる序文を掲載している。
--このレビューは、同タイトルのハードカバーのレビューから転載されています。