インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

The End of the Affair (Vintage Classics)

価格: ¥1,182
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Vintage Classics
Amazon.co.jpで確認
第二次世界大戦中から戦後のロンドンを舞台にしたグレアム・グリーンの『The End of the Affair(邦題:情事の終り)』は、自己愛、他者への愛、神への愛の3つの衝突、つまりパトスの問題を描いている。ここで問題になっている情事とは、自己の世界に耽溺する小説家モーリス・ベンドリクスと義務的な結婚生活を送っているサラ・マイルズとの関係を指している。官吏をしている、サラの退屈な夫が開いたパーティーで出会った2人は、やがて変化のない不幸な日常生活からお互いを解放するようになってゆく。2人のロマンスが始まったころのあふれんばかりの情熱を振り返りながらベンドリクスはこう言う。「あのころはどちらがどちらを欲したかなどまったく問題ではなかった。2人はともに求め合ったのだ」。その言葉どおり2人の関係は数年にわたって続くが、それもある日の午後の密会までのことだった。地下室に人がいないか調べようとベンドリクスが階段を下りたところで建物は爆撃を受ける。サラが駆け下りていくと、彼は倒れたドアの下敷きになっていた。そこで彼女はとっさに神と契約を結ぶ。それまで神など特に気にかけたこともなかったのに。「彼を愛しています。彼を生かしてくだされば私は何でもいたします…彼のことを永遠にあきらめますので彼を生かしてください、一度だけチャンスをください…人はお互いに相手を見なくても愛し合うことができますね。神様、あなたを見なくても人は一生あなたを愛します」
ベンドリクスは(この物語を書いているくらいだから明白だが)死んだのではなく意識を失っただけだった。それ故、サラは約束を守らねばならなくなる。彼女は何の理由も告げずに2人の関係を断ち、ベンドリクスは事情もわからぬまま怒りを抱く。ひとつだけ考えられるのは、男ができたのではということだった。サラの情熱的な誓いについて初めて知るのは、数年後に真実を知るために私立探偵を雇ってからだった。サラ自身は奇妙とも思える論理で割りきるようになっていく。日記の中で神に宛てた手紙にこう書いている。

「あなたは私たちの別離をお望みになりましたが、彼(ベンドリクス)もそれを望みました。彼は怒りと嫉妬によってそのために力を尽くしました。また彼は愛によってそのために力を尽くしました。なぜなら、彼は私に多くの愛を与え、私は彼に多くの愛を与えたので、2人の愛が尽きたとき、残ったのはあなたへの愛だけだったからです」

彼女が信仰にそんなふうに引かれたのも、必然のなせる技だったのだろう、その引かれ方が無限だったところから見ても。おそらくそれは姦通の罪に対する罰だったのだ。晩年、サラがひたすら信仰を深めていくのは、折りしも爆撃と、神を引き寄せる自らの力に憑かれている時期なのである。『The End of the Affair』は、戦争がもたらした破壊の悲劇を背景に、苦悩をもたらす、多義的な「愛」の本質とは何かと問いかけながら、繰り返し読者の意識の扉を叩き続ける。