本当に影響力のあるバンドだったという確実な証拠――それは、解散後にレトロスペクティヴやコンピレーションのたぐいが多数出ていて、現役時代の録音が一望できる規模に達していること。その点ではまったくケタ外れといっていいピクシーズだが、今回『Complete B-Sides』がリリースされたことで、解散前と変わらないペースで次々と録音が出ていることはさて置いて、イキのいいアルバムが1枚あるという点でもっぱら評価されることになるだろう。『Complete B-Sides』は、やはり大方のバンドがつくるレコードより10倍は素晴らしい。たとえ他のバンドが最高のヒット曲ばかりを1枚に集めてみても、本作にはかなわない。さすがピクシーズと思わせるものばかり――ジョーイ・サンチャゴのいかれたギター・プレイ、ブラック・フランシスの悪意に満ちたファルセット、キム・ディールとデヴィッド・ラヴァリングのユニークな推進力を持ったリズム・セクション――がそろっているのみならず、ピクシーズの最良の作品がいくつかあるのにも注目だ。ライヴの定番曲だった「Vamos」と「River Euphrates」、サーフィン調の未使用ヴァージョンで収録された「Wave Of Mutilation」は特に聴き逃せない。（Andrew Mueller, Amazon.co.uk）