その他の曲については、充分に聴きやすく安定した仕上がりなのだが、ビートルズや絶頂期のウイングスのようなメロディーの魅力にとぼしい。ポールの1980年代のアルバムの中から出来のいいものを聴いてみたいというファンなら、埋もれた名作『Tug Of War』(邦題『タッグ・オブ・ウォー』)の方を取るかもしれない。ポールのベスト・ワークのひとつと言っていいアルバムだからだ。
一方、この『Pipes of Peace』は、ポールの熱烈なファンからもさほど支持を得られないだろう。しかしながら、好調期の耳当たりのいい作風とはまた違ったものを期待する向きからは、本作をあえて「もっとも過小評価されているアルバム」に挙げる声も出ている。(Taylor Parkes, Amazon.co.uk)