「Army of Me」は凶暴で刺々しいチューンだが、この後に続く輝かしくも多彩な楽曲群と比べれば、おとなしい出来といっていいぐらいだ。トリッキー、プロデューサーのネリー・フーパー(ソウルIIソウルやU2のアルバムも担当)、ストリング・アレンジャーにして一発屋アーティストのデオダートと手を組んだビョークは、ヘリウムを吸い込んだかのような声とシュールな言葉遊びをさく裂させつつ、ガーシュウィン風ポップ(可愛らしい「It's Oh So Quiet」)、アンビエント・ダブ(「Possibly Maybe」)、そして、ありとあらゆるダンス/ポップの混合体(「Enjoy」、「Hyper-Ballad」、「I Miss You」)へと展開していく。
あまりにも荒削りだし、冒険的な試みが多すぎるので、たぶん大規模な成功を収めることは難しいだろうが、これだけユニークで、魅力的で、奇妙な親しみを感じさせるアーティストは、ちょっといない。(Jeff Bateman, Amazon.co.uk)