以上、巻頭の著者の言葉ですが、何をお感じになりますか?短い文章ですが、「時間と空間と光はひとつ」「宇宙の呼吸(歯車)」「真の本性」といった言葉から、潜水は、マイヨールにとっての宗教体験そのものではなかったかと、私には感じられます。
そうであるとしますと、「皆さんが私に続いてくれますように・・」というマイヨールの誘い(願い)の言葉は、マイヨールの宗教を追体験することを勧める言葉と読み取ることもできます。
実際、この本には、追体験するための方法も示されています。呼吸に関する論考があり、「ヨガ」や「禅」について触れられ、特異な血液循環「ブラッドシフト」について説明されています。
しかし、全編にわたりなんと感性豊かな文章なのでしょう。翻訳ものではあまりお目にかかる機会のないような文章です。名訳ということもあるのでしょうが、マイヨールその人の感受性の豊かさが、翻訳されても変わらずに溢れてくるほどのものであるから・・ということだと思います。イルカたち(特に「クラウン」)との出会い、交流、別れに関する文章は特に心を揺すぶられます。
広く多くの方に読んでいただきたい書籍です。