It’s About Death and Life, and Hope.
★★★★★
死と向き合う恐怖の中で癌と戦い、第二の生を授かった著者が語る、死と生と希望のメッセージ。
著者は、生還後前人未到のツール・ド・フランス7連覇を成し遂げたスポーツ選手である。当然自転車選手としての成長や、ツール・ド・フランスを戦う模様についても描かれている。でもそれらの章でさえ、単純に自転車競技としてではなく、あくまでも死と生と希望、その文脈の中で描かれている。
It’s Not About the Bike It’s About Death and Life, and Hope.
「感動した」と書けば、著者含む癌患者に対する冒涜になるだろうと感じる程に、生々しい恐怖に塗れ、力強い希望に溢れる内容。真なるメッセージは、私のようにいまだ死の恐怖と対峙したこともない人間には、到底心で掴むことができないものかもしれない。そう思わずにはいられない程に心が揺さぶられる。
ランス・アームストロングはこう言っている。
「僕が言いたいことはただ一つ。もし人生で二度目のチャンスを与えられたら、徹底的にやり抜くことです。」
これは、「二度目」の人間でなくとも、我々皆が真摯に耳を傾けるべき言葉だ。
意味もなく謝りたくなる
★★★★☆
読み進むほどに、「うわぁ、こんな人友達やったらかなんわー」と思うほどランスは強烈。
WGPチャンピオンのマイケル・ドゥーハンもこんな性質を持った人だと何かで読んだので、
やはり、あれだけの事をなすにはこれぐらい強烈なものを持っていないといけないのだろうなぁと
凡人としては驚嘆するばかり。
タイトルは"It's not about the bike"だけれど、彼とバイクの結びつきがずーっと語られています(笑)。
ワタシとしては、癌を克服した後最初のレースを棄権して、メキシコ料理屋へ通ってしまうところに
人間的な親近感を覚えてしまいました。
これは、特殊な人の特殊な体験だと思いつつも、読んでいてテンションの上がるよい本でしたよ。
アメリカの医療費
★★★★★
凄味のある内容で生きる意欲が奮い立たせられる気がします
本の中ではあまり触れられていませんが
高額医療費が有名なアメリカではランスの治療費は
脳外科手術、長期入院、癌治療、高名医師などから
20-30億かかっていると思います。保険が4割負担としても
5-20億を自己負担しているでしょう
(アメリカでは点滴一本かえるのに10万円請求されます)
アメリカでは医療費が払えない中流以下はモルヒネで
死ぬか、それ以前に医者にかからず死ぬのみです
この点でも自転車競技がランスの命を救ったといえそうです
日本に住んでいると生に対する貪欲さを忘れてしまいますが
生きる事は甘くないという生に対する本来の貪欲さ
短い期間での信じがたい地獄の底と祝福の天上を見せてくる
奇跡みたいな話だと思いました
聖人ではなくて逞しい人間の話なんだなと
この後の彼の女性遍歴など人間臭さも素直に受け入れられます
ツールを走ることはヨーロッパを知ることだ
★★★★★
ランスをスポーツマン オブ ジ イヤーに導いた大ベストセラー。
いかにもゴーストライターが書いた風の読み手を過剰に意識した書きっぷり
が気になることもあるが、エピソードの一つ一つが素晴らしく感動の連続。
つらく地味なレースの雰囲気も十分に伝わってきて読んでいてツールが
わかったような気になってしまった。
それにしても、本中であんなにランスを支えた奥様とその後離婚したのは理解しがたい。
「ポジティブ」という言葉の真髄を見た
★★★★★
ランス・アームストロングの劇的な復活には、我々常人には想像もつなかいほどの
地道で過酷な努力があったと思いますが、それは決して彼個人だけでなしえたもの
ではないと感じました。
貧しいシングルマザーでありながら、常に息子を強く励まし続けた母親、
癌を治療するだけでなく、競技者として復活させるべく難しい道を選んだ医師、
無私で献身的な看護を行った看護士など、いかに多くの素晴らしい人たちが
彼を支えたかが、本書には克明に書かれています。
彼らに共通するのは、どんな困難な状況でも諦めず、前向きに努力し続ける
「ポジティブ」という、アメリカらしい価値観でしょう。
マスコミに限らず、批判や不満の多い日本社会と比較すると、こうした
偉大な行為を支える土壌に、大きな差があることを感じます。
日本の将来を悲観することは簡単ですが、私自身、困難な状況にあっても、
彼のようにポジティブな信念を失わず、周りの人を巻き込みつつ、
より良い未来を切り開いていこうと、強い刺激を受けました。