嵐の夜、暗闇のなかで友だちになったヤギとオオカミが「あらしのよるに」を合言葉に、太陽のもとで再会する。お互いが「食うもの」と「食われるもの」であったことを知っても友だちであることを選んだ2匹。しかし、おなかのすいたオオカミが思うのは「あ…、うまそう…。」
ふと、もたげる本能にプルプルと首をふるい、ポコポコとじぶんの頭をたたくオオカミの姿はいじらしい。第1部のばれそうでばれないスリリングな展開は、第2部では食べられそうで食べられないという形に変わり、ページをめくる手を早くさせる。生き生きとした絵と、読み聞かせに最適なテンポのいい短い文章も健在だ。この奇妙であやうげな2匹の友情の物語は、あらゆる世代をとりこにする魅力にあふれている。(小山由絵)
ほんとにお奨めの一冊です。