基金活動で子どもを抱く愛情に満ちた晩年のオードリーの表情と、バレリーナ時代の屈託のない、無垢というよりただ幼い感じのする10代のころの彼女の表情を見比べると、彼女は本当に最後まで成熟を止めなかった女性だし、『ティファニーで朝食を』のホリーや『ローマの休日』のアン王女を演じることで自分の想像力や愛情を豊かに育てたのだ、と思えてくる。
ジバンシーやグレゴリー・ペック、ナンシー・レーガン、スピルバーグ、ラルフ・ローレンらからのコメントも掲載。多くの未公開写真を含む100枚近いグラビアと、デザイナー自身の手によるオードリーのためのラフ・スケッチ、『ムーン・リバー』『麗しのサブリナ』『マイ・フェア・レディ』でのメイク(シャドウやチークや口紅のさし方や色…)を紹介するカラーイラストなど、目で愛でて最高に楽しい。ベッドタイムにコーヒーテーブルの上でぱらぱらめくっているうち、物語部分を読みふけりはじめ、気がついたら明け方だった…なんてこともありそうだ。(石井節子)