作文の楽しさを知る。
★★★★★
10年以上前に読んだ児童書だけど、いつも、心のどこかで、文章を書く時のイメージを豊かにしてくれる大切な1冊です。
少年は、いつも、自分の思いを、机や壁などに、その時の記念日を書き残す。
落書は悪いことだけど、その日時を書き込む場面を読むと、生きている存在感が伝わってくる不思議な感覚だ。
夏目漱石のように、心理描写の素晴らしさがある。
自問自答しながら、その内面的な深さが、深いほど、子どもの心の成長が発達するように思う。
「シェークVS.バナナ・スプリット」の短編は、作文を取り扱った貴重な物語です。
スウェーデンの人気児童文学作家ウルフ・スタルクの自伝的な物語から、文章を書く時の、大切な考え方、感じ方を学びました。
“嘘”と“想像力”
★★★★★
「うそ」をついてはいけません。そう言われながら、私たちは大きくなる。「うそ」を重ねていると、しまいに大変な目に遭うということも、懇々と諭されながら。でも、「うそ」って、なんと甘美な言葉でしょう。嘘をつくと違う自分になれる、嘘をつくと思い通りの世界が広がる 、そんな心の作用が「ちょっとだけ・・・・・・」と、嘘をつかせるのですね。
ウルフは、うそつきの天才。でも、ご多分に漏れず、自分のついた嘘によって窮地に追い込まれてしまいます。家に帰るに帰れなくなって、ふらふら街をさまよい歩くはめに。作中で、「一九五七年九月二十八日」という、日付が出てきてびっくり。えーっ!これ、そんなに以前の出来事なのぉ?ちっとも、古さを感じさせないスタルクの力量に感服しました。うそつきの天才は、窮地を脱しても、またぞろ、性懲りもなく嘘をつくのですが、その作り話が13歳の男の子らしい背伸びの仕方で、笑っちゃいました。
もう一編の「シェークvs.バナナ・スプリット」は、14歳のウルフ。思春期に突入したのがよくわかる作品。作文がクラス一うまいヨーランに、絶対勝ちたいウルフは頑張る。訳者の菱木晃子さんが、あとがきで書いているように、後に作家になるスタルクの芽が窺えます。自伝的作品で、しかも本国のスウェーデンでも未発表の作品(1996年11月時点で)だそうですが、なんと力に溢れた、人を引きつける作品だろうと感じました。
もう一つ、私が気に入ったのは、はたこうしろうさんの挿絵です。ちょっと見、外国の絵本ぽいニュアンスなのです。たくさん添えられていて、スタルクの文章と共に堪能できました。
男の子ってこうやって大人になるのね
★★★☆☆
嘘がばれそうになって家出したり
クラスで作文をライバルと競いあったり
とっても逞しいウルフはへこたれません
13才~14才の男の子は、
こうやって大人に近付いていくのかも・・
挿絵も可愛いいです(特に猫!)
読みやすい!!
★★★★★
この本を、最初の何ページかを読んだとき、失礼かもしれないけど、あまりたいした話ではないかなぁ~って思ったけど、読み始めると、はまってしまって、最後まで読んじゃうってぐらい、読みやすいです。気が付かないうちに、最後まで読んでしまっていた、私です。。。