ベスト・オブ・ロバータ・フラック
価格: ¥2,447
他人の曲を解釈することにかけて、ロバータ・フラックに並ぶ者はいない。「Will You Still Love Me Tomorrow?」「Feel Like Makin' Love」などの他愛ない歌にさえ、稀有な温かみと官能性を与えてしまうのだから。だからその才能に見合った楽曲――その代表が「Killing Me Softly With His Song(やさしく歌って)」だが――が与えられたときには、彼女は際立って輝いた。彼女の歌ったユワン・マッコールの「The First Time Ever I Saw Your Face(愛は面影の中に)」(紛れもなくこのアルバムのハイライトだ)は、ポップスのもっとも忘れがたく重要な作品であり、真に卓越した大傑作である。しかし時は移ろい、フラックのアーティストとしての衰運は、何にも増してコラボレーターの選択に明らかだ。それは1970年代の才能豊かなダニー・ハザウェイ(このアルバムの「Where Is The Love」「Back Together Again」でデュエットもしている)との作品から、1980年を通じてお粗末なピーボ・ブライソン(「Tonight, I Celebrate My Love(愛のセレブレーション)」)、「Uh-Uh Ooh-Ooh Look Out (Here It Comes)」を義務的にハウスミックスした、最近のまぬけで悲惨なユーロディスコにまで見られる。しかしそんな風に素材が欠乏する今でさえ、あの声は氷河だって溶かしてしまうだろう。(Andrew McGuire, Amazon.co.uk)