「Tinseltown In The Rain」では、暗色系の音の作りだす水彩と光の陰影を用いて、夜の街をあざやかに描きだす。本作は、ポール・ブキャナンの物思いに沈んだロマンチックな歌詞に彩られている。そしてまるで映画のような余韻を響かせることで、ネオンに照らされた人気のない水たまりの街路を、愛する人のことを想いながら夜ふけに歩く姿を見事にとらえている。物憂げで、ほろ苦く、すばらしい――たとえるなら本作はそんなアルバムだ。(David Stubbs, Amazon.co.uk)