冬に備えて、せっせと食料を集めて働く野ネズミたち。でも、フレデリックだけはじっとして動こうとしない。寒くて暗い冬の日のために「おひさまのひかり」を、灰色の冬のために「いろ」を、長い冬の間に話が尽きないように「ことば」を集めているんだ、と言うフレデリック。やがて冬が来て、食料も尽きる。だが、フレデリックが集めておいたものは、尽きることなくみんなに楽しい時をもたらしてくれる。
豊かな想像力が生み出す、生きる力。それぞれが自分の役割を果たすということ。ユーモアたっぷりのお話のなかに、大切なことがちりばめられている。「働かざるもの食うべからず」という教訓や「みんなで分け合う精神」を教える、といった単純なお説教話にはなっていないのが、いい。(門倉紫麻)