荒地になった大地に咲いた清き花だ!!
★★★★☆
かなりのインパクトを感じる一冊でありました。田中正造の不屈の精神が脈々と伝はって来るやうで、少年向けの偉人伝だからと言って軽く扱ふべきでないと強く感じました。足尾銅山鉱毒事件を初期の帝国議会で果敢に取り上げる事が可能だったのも、田中正造の名主経験、役人経験、県議の経験を踏まへたものであると思ひました。真っ直ぐに一途に進む生き方は、本当に尊く、明治天皇にまで直訴に及んだ赤誠は農民に対する思ひがさうさせたのでせう。それを支へる精神的バックボーンがキリスト教だった事は、色々と考へさせられます。そんな尊い行ひも現在の渡良瀬遊水地が殆ど荒地の儘のやうな姿を体してゐるのは何とも割り切れぬ思ひになってしまひます。政治の叡智は、少しは働かなかったのだらうかと。