純粋な子供の心にそっと触れるような、読み心地のとてもよいお話でした。子供に読み聞かせているにもかかわらず、私自身が主人公の‘すぐり’になってガラスの世界に引き込まれてしまいました。展開の速い筋書きで読者を飽きさせずにいるのに、全体的に優しい感じがするのは、林明子さんの挿絵のせいでしょうか。

　こんなに美しく、ピュアな話が、いまも生まれていることに感動した。家に飾ってあるガラスの馬の脚が折れてしまうのが始まり。登場人物は「すぐり」という主人公とガラスの馬、あとはごくわずか。だが、最後まで読者を飽きさせない。私は長男（年長）が寝る前に１章ずつ読み聞かせていたが、「もうちょっと」と、もう１章をねだられることが多かった。幼稚園から小学校低学年のお子さんに読み聞かせるのに最適。子どもたちはきっと、一度は「すぐり」になった夢を見ると思う。