「自分を信じよ」という言葉は、90歳代になるまで研究を続けた文化人類学者で精神分析家、エリク・エリクソンが強調した言葉で、著者の座右の銘でもある。著者はこの言葉を受け、勉強する気になるかどうかは、自分が勉強すればできるようになることを信じられるかどうかにかかっているし、中高年を幸せに生きられるかどうかも、実は自分を信じられるかどうかにかかかっているのだ、と主張する。勉強は40歳からがおもしろいし、40歳からこそ、実社会で役立つ勉強力がついてくるというのだ。そしてキモチイイ快体験が勉強しようという意欲を呼び覚まし、人生経験によって深まる学問分野もあるというのだ。
著者はさらに、40歳からは「何のために学ぶか」が最も大切であり、人生経験のおかげで理解力が増しているメリットを考え、息が長く続けられるもの、中高年からでも大家になれるような分野を選び、できれば人に教えるのが最良の勉強法である、と説く。「成せば成る、成さねば成らぬ」の格言は、中高年以降の実践勉強法にも通じる真理なのだろう。(増渕正明)