じいさまが山に木を切りに行ったところ、むこうやまの方で、「でんかしょ でんかしょ」とおもしろい掛け声がする。じいさまがむこうやままで行って木の陰から覗くと、となりの長者の太ったねずみとじいさまのやせっぽちのねずみがすもうをとっていた。太ったのねずみは、すっぽんすっぽん、やせっぽちのねずみを投げ飛ばす。ろくすっぽ食べ物がないからねずみがやせていると考えたじいさまは、家へ帰ってばあさまと相談し、大事にとってあったもち米でおもちを作って、戸棚の上へ置いておいた。その晩、おもちを食べたねずみは、次の日のすもうではそう簡単には負けないようになっていた・・・。岩手県遠野地方の昔話。
絵がとても良く、ねずみの表情が豊かで、じいさま、ばあさまの姿もユーモラスに描かれている。じいさまが、すもうを見に、斧を投げ出してほいほいむこうやまにとんでいく絵が、子供には特に受けたようでした。
子供のころ読んだときには考えもしませんでしたが、ねずみというのは子供を表していて、自分の子供に十分に愛情を注げば、その見返りがあるのだというお話なのかもしれないと、子供に本を読んであげながら思いました。
ちなみに、お話の最後に「どんどはれ」とありますが、これは遠野地方の言葉で、「めでたしめでたし」といった意味だそうです。