どこまでも明確。目から鱗の本。
★★★★★
1980年代半ばに代ゼミ生で実際に田村先生の講義を受けていました。
現代文は答えは最終的に主観的判断に偏ると思っていた私の主観は
この書により見事打ち砕かれました。
文章の内容に自ら意見をするのは小論文でやることであり、現代文の読解は筆者の言いたいことを自らの主観を入れずに
客観的に読み進みていくことである。
そのために、問題文を現代日本語の語学的な根拠をもって読み解いていく。
考えてみれば当たり前のことでありながら、どの先生からも聞いたことのない理路整然とした解説にほれぼれしながら
本書を読み進めました。受験生として、頭がいい=偏差値が高いといった幼稚な図式しかなかった私にとって
決して誤魔化さない、そして無理のない思考は真の意味での頭の良さを感じさせてくれました。
空所補充問題などで、時に著者の用語の誤使用(特殊使用)などにも触れ、現代日本語の語法上、論理的に考えた場合、
原文に書かれている語句よりも別の解答がより適している、そう考えた方が応用が効くといった話をしてくれたこともあります。
このように筆者と対等どころか、筆者より上をいった読解解説が随所に見られました。
その他、谷崎潤一郎、三島由紀夫、その他、知的好奇心に触れる雑談を代ゼミの講義の中でいろいろとしてくれました。
そういえば田村先生の小林秀雄に対する評価は低く、「小林秀雄はずるい」といった言葉も私の心にひっかかりました。
そういった先生が蒔いてくれた知的好奇心の種子が芽生え、大学入学後も文学を含め様々な本を自ら読むようになりました。
これは現代文の偏差値が上がったということ以上に効験があったことです。
予備校在籍時時代に止まらない知的な刺激を与えてくれたという意味で先生には本当に感謝しています。
講義を通して知的な意味で私に影響を与えてくれた最初の先生です。
とにかく詳細な1冊
★★★★☆
評論の基本問題について、実に詳しく解説されている参考書。
ゴマカシが一切なく、丹念な説明がなされているのが最大のメリット。
指示語、接続詞から文法まで非常に詳しい解説のため、
なぜその答えなのかがよくわかるようになっている。
理屈っぽい人というか、理由・意味づけを重視する人が使えば
目からウロコが落ちそうな1冊。
ただ注意点として、図式等がほとんどなく理解するのに時間がかかるという点がある。
読んでいて講義のような臨場感は確かにあるが、
板書のような整理されたまとめがないため、文脈をたどる力を要する。
また、センターなどではまず出ないようなクセの強い問題が多く、
基本問題といいながらやや難しめになっている。
理系には必要ないかもしれない。
論理構造を重視する「鳥瞰的」な出口先生との対比で言えば、
田村先生は文法的に緻密に解釈する「虫瞰的」といえるだろう。
類書が無い現代文最高の受験指導テキスト
★★★★★
日常の中で受ける簡単な現代文の試験では、国語教師の作成した情緒的な回答を求める問題もあるかもしれないが、数千人の受験生が挑戦する大学受験において、問題作成者の感性だけで回答が決まってしまうような問題はありえない。
すなわち、大学受験本番における現代文の試験問題には、客観的で公平な採点可能でなければならないという大きい制約があり、その範囲の中での試験問題であるということを理解せねばならない。
この特徴を正確に理解し、試験問題の中に必ず答えのヒントがあり、文章の論理性を正確に粘り強く理解することが受験生が求められていることに気づくことを、このテキストは読者に提案している。
一般的な「国語」というものを漫然と記述した大学教授による参考書が、過去、書店に氾濫していた時代があった。その中で、この田村氏によるテキストは斬新であり、類書が全く無かったのである。
現代文の第一歩
★★★★★
現代文が苦手なので、薄くて人気のあって自分にあった参考書がこれでした。
最初はやさしい現代文をやって、その次にこれをはじめましたが結構良いです。
出口の現代文もそれなりの感銘があったものの、参考書を次々出す姿勢にあきれてしまい、
より完成度のあるこちらを選択しました。
レベルはやさしいよりは難しいですが、より力がついていると感じるのこちらです。
説明が硬いと書いてありますが、自分は結構読めちゃいます。
時間のない方はこちらだけでも構わないと思います。
ただ、第3巻と、4,5はすでに絶版になっていますので、
オークションなどで手に入れる必要があります。
ちなみに第4巻はかなり値が張ります。
論理的解決
★★★★★
自分の読解力の再確認のために手に取りました。
今まで文章を大枠だけ掴んで直感的に理解していたため、なんとなく理解したような気持ちだけになってしました。
でも、この本を読んで、現代文の文章の中には、いろいろなヒントが隠されていて、そのヒントをよりどころにしていけば、より論理的で正確な理解に繋がるのだとわかりました。
現代文の文章を理解するための、ノウハウが解り易く説明されていて、現代文の解き方を変えさせてくれる本だと思います。
この本の分量は、問題数が8問と多くなく、『ヌードとモードの間』など出されている問題も楽しくて興味深い内容なので、テストや入試の目的のみならず、一般的な評論文などの理解力を高めたい人にもおすすめできます。