これが長編映画デビュー作となったホ・ジノ監督による、難病と悲恋の物語。ただし、あからさまに感情に訴えることを拒否し、日常のスケッチ描写を淡々と、しかし入念に表現し続けることで独特のさわやかさが醸し出され、同時に現代の若者特有の、本心をさらけだすことを恐れる「距離感」といったものも巧みに描かれた秀作に仕上がっている。日本における現在の韓国映画ブームの先駆けとなった作品で、『シュリ』のハン・ソッキュと『美術館の隣の動物園』のシム・ウナのすがすがしい好演も、作品魅力の大きなポイントとなっている。(的田也寸志)