ゆっくりと味わいながら勉強する本です。
★★★★★
『ヨーロッパの言語』の泉井先生の本なので、読んでみました。期待にたがわない、よい
本だと思います。
全466ページのボリューム、294ページまでが本論で、そのあとは補論になっていま
す。単語リストは、600語ほどなので、比較的平易なラテン文をもちいてラテン語を
習得するように構成されています。
特徴は、
1)初めから、ラテン文に親しみながら、ラテン語の文法を学ぶ。
はじめに、
Japonia est insula.Italia non est insula. Italia est paeninsula.Japonia non est
paeninsula.---
といったラテン語から入ります。
2)83ページからは、Arachneという、長文のラテン文にはいります。
3)本編で、ラテン文法の基礎を学んだら、補論でさらに細部を学びます。
ーーー単語、語法の解説が懇切丁寧です。
泉井先生によれば、「一つの言語の理解には、この種の細部の理解、または感得が重
要である。
その言語がその人にとって生きてくるか否かは、ひとえにこの種の細部に対する感得と理
解にかかっている。」(序)
練習問題の解答も付いています。
ゆっくりと勉強する人に向いています。
読者不在
★★☆☆☆
漸進的に文法事項を学ぶという形式をとっているものの、初学者が使うには情報量が多すぎる。かといって、すでにラテン文法の基本を身につけた者が参考書として用いるには、漸進的であるがゆえに、文法事項の記述があちらこちらに点在しているという不便さを感じざるを得ない。古い本なので、漢字は旧字体。若年者には、漢字でつまづく者もいるだろう。かといって、年配者にとっては、活字が小さく、また時に不鮮明であるうえに、OとCなどの見分けがつきにくいフォントを使っていることから、不便極まりない。特に、多少なりとも老眼のある人間には、酷だ。以上の点から、「誰のためか」ということが分からない中途半端な本であるといわざるをえない。内容自体は含蓄に富んでいるのだが・・・。
比較的楽しくわかりやすいラテン語教科書
★★★★★
ラテン広文典というから、初等的文法は飛ばしていきなりラテン語特有の用法・用例を羅列した本を想像したが、実はamo, amas, amat...ではじまる文法教科書である。文法編が33章、補説が10章からなる。適宜与えられる問題は羅文和訳で、10章までは完全な解答が、11章からは注釈的なヒントが与えられている。また練習問題よりも長めの文章の読解も適宜挿入されており、13章から少しずつオヴィディウスの変身物語、27章からはハンニバルの物語を読む。忍耐は必要であるが、楽しくラテン語を学べるように工夫されていると思う。ただ1つの難点は、漢字が旧漢字をもちいていることだ。若い人には読みづらいところもあるかもしれない。