この辞典を選んだ第二の理由は、編者が北原保雄氏だということです。大修館
書店の「明鏡国語辞典」の素晴らしさに感動して以来、北原氏はもっとも意欲
的な辞書編集者のひとりであると私は確信しています。その北原氏が編者とな
っている辞典ですから、文句なしに信用することができました。
この辞典の「編者のことば」によりますと、すべての例文に現在語訳をほどこ
す「全訳」方式を17年前に初めて採用したのは北原氏であるとのことです。
そして今回の改訂では、有名古典の長文を例文として掲載し、さらにそれに全
訳をほどこす「全文全訳」方式を初めて採用しています。
この「全文全訳」方式がどれほど役に立つかはわかりませんが、この辞典から
は、北原氏の「常に辞典を改革していきたい」という強い情熱が感じられます。
「明鏡国語辞典」を素晴らしいと感じた方は、この「全文全訳古語辞典」のこ
ともきっと気に入ると思います。