正直言ってかなり寒いものもあるし、オヤジならではのHなネタも多い。しかし、自分の学生時代の経験から言っても、語呂合わせの暗記法は、くだらないほど、下品なほど憶えちゃうのも確か。時にシュールな匂いさえ漂うイラストと相まって、印象に残るというという意味では、かなり「記憶残存度」が高い単語集と言えると思う。
しかし、実はこの本の真価は、そこにあるのではない。
むしろ私が感心したのは、ラテン語などの語源にまでさかのぼったウンチク炸裂の派生語集の部分である。たとえばfinanceがフランス語のfinなどと同じく「終わり」から来ていることなど、正直全く知らなかった。vacationがvacuumと同じ「空白」の意を持つことも(こちらは見当はつくけど)、思わずなるほどとうなってしまう。ダジャレオヤジの仮面の下に隠された教養主義に、今ならさしずめ「へぇ」ボタンを押したくなるのは、私ばかりではないはず。これも私の経験からすると、実際試験場等で英語を読むときに役に立つのが、こういった語幹や接頭語・接尾語に関する語源的知識なのである。本書のこの部分は、かなり利用価値が高いと思う。
というわけで、1600円の投資に見合うかと言われれば、「充分見合うでしょ」と答えられるので、星4つ進呈。