みなさんのレビューの評価が高かったので、あまり見慣れない体裁の本で購入するのに一瞬躊躇したのですが、思い切って買いました。

ラテン語の教科書にはいろいろありますが、実際覚えておかなければならないのは、この薄っぺらい本の内容ぐらいではないでしょうか。もちろん完全を期すのであれば、もっと知識を仕入れる必要はあるのでしょうが。

有田潤先生の本はほかに、『初級ラテン語入門』と『ラテン語基礎1500語』がありますが、いずれも見た目はきわめて地味なものの、本書と同様に教育的配慮がなされた教科書で、実際に使用してみた者としては強くお勧めできます。

この本は、小冊子の形をとっています。
中央のページでちょうど分かれていて、そこから目次を見ることができます。章立ては極めて整然としています。前半に名詞、形容詞、代名詞、後半に動詞の基本形、命令と続きます。前半後半ともに基本的な文法事項から複雑な事項に言及しています。ラテン語の文法書はラテン語広文典などがありますが、分量から考えて携帯に向いているものは少ないです。
この点このインデックス式ラテン語文法は適当なサイズになっていて学習にも文法事項の確認にも使えます。本の作りも強いので、是非ラテン語学習のともに利用しましょう。他の言語ではそうなっているものがあります。二色化すればなおさらよくなると思います。

本のデータには「32ページ」とありますが、実際の総頁数は、70ページです。
手に取るとすぐにわかりますが、ハンドブックとして使用しやすい工夫がされてい
ると思います。

・本真ん中の見開きがオレンジ色の厚紙のページになっており、そこで32個のテー
マが一覧できます。名詞、代名詞、接続詞などで16個、動詞を中心に16個。むかし
の電話帳のようにほんとにインデックス式になっていて、ぎざぎざのインデックス
に1〜32の番号がふられています。引きやすいです。

・各テーマは見開き2ページになっています。見やすいと思います。おおむね、左側
に格変化や活用表があり、右側に説明事項と和訳付きの例文が数多く収録されてい
ます。例文は暗記に適した短文です。

・[14] 前置詞　をインデックスでめくってみると、左のページに「対格・奪格支配
の前置詞」「対格支配の前置詞」「奪格支配の前置詞」の三つでそれぞれ具体的に
前置詞があげられており、右ページを見ると、例文が計32出ています。

文字がほんの少しだけ小さいかなという気がしますが、太字とイタリック（英語に
相当する語句）で見やすさの配慮は十分なされています。

古典ギリシア語ほどではないにしても、やはりラテン語の語形変化は暗記するのが大変。いずれは暗記してしまうのが好ましいが、誰でも最初のうちは何度も何度も文法書を開いて変化を確認するもの。そんなときに役に立つのがこのインデックス式文法表。すべての品詞のそれぞれの変化がまとめてあり、とても見やすく、瞬時に引けます。文法説明も簡潔に軽く書かれており、思い出すのにちょうどよい。私は所々自分で書き込みを入れて長い間使っています。もうカバーもちぎれてぼろぼろですが、とても便利なのでまだまだ手放せそうにありません。