ハリウッドランド [DVD]
価格: ¥3,990
サスペンス『ハリウッドランド』は実話に基づいている。その事件は1959年に起こった。テレビ番組『アドベンチャーズ・オブ・スーパーマン』の主役、ジョージ・リーブスの死。これがハリウッドの黄金時代の斜陽期に、さらに影を投げかけることになる。ポール・バーンバウム脚本の巧みな犯人探しサスペンスは、リーブスの死(公式には自殺とされたが納得のいく解決は見られていない)にまつわる、きな臭い空気を効果的に呼び覚まし、事件の状況からリーブスは殺害されたのではないかと示唆している。リーブスがたどった憂鬱な映画人生を描き、落ちぶれた私立探偵によるリーブスの死の原因の調査過程を組み合わせ、本作はハリウッド・ドリームの表と裏の生活を平行して描く興味深い作品となっている。監督はHBOチャンネルの『ザ・ソプラノズ』、『Rome』、『シックス・フィート・アンダー』など、テレビで秀でたキャリアを築いたアレン・コールター。リーブス事件の悲劇的な側面と懐かしの探偵ものに対するリスペクトとの間で、うまくバランスを保っているし、エイドリアン・ブロディも架空の人物である私立探偵ルイス・シモとして絶妙な演技を見せて、リーブスの生涯最後の数カ月における切ない心情に見る者を引き込んでいく。
ベン・アフレックは雰囲気のあるフラッシュバックでリーブスを演じ、その演技は絶賛された。スーパーマンとしてのスターダムと、金銭的には愛人のトニー・マニックス(ダイアン・レイン)に依存していたリーブスをうまく捉えている。どこか貪欲なトニーはハリウッドの“まとめ役”でMGMの重役エディ・マニックス(ボブ・ホスキンス)の妻だ。シモの調査が進展を見せるにつれて、エディのマフィアとのつながりが殺人につながったことが示唆されていく。リーブスの次の恋人(演じるのはロビン・タニー)にも責められる点があると匂わせ、シモ自身の生活も次第に紐解かれにつれて、リーブスへの共感が重要性を増していく。説得力のあるシナリオで謎を提示した『ハリウッドランド』は、登場人物たちの運命に清々しく同情を寄せることができるミステリとして、おもしろみがある。ありのままに描かれた登場人物は、どんな町にでもいる夢がいつも実現するとはかぎらない夢見る人々と似ているのだ。(Jeff Shannon, Amazon.com)