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文庫版 豆腐小僧双六道中ふりだし (角川文庫)

価格: ¥940
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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究極の妖怪「豆腐小僧」を通した妖怪解題小説 ★★★★☆
京極氏が愛好する「豆腐小僧」を主人公とした妖怪解題小説。突如湧いた「豆腐小僧」が、「自分とは、あるいは妖怪とは何ぞや」と悩む姿を成長物語風に描いたもの。結論を一言で言ってしまえば、「妖怪とは概念であり、事象をそれと解釈する人間が居なくなってしまえば消えてしまう」である。これを外挿すれば、「京極夏彦とは概念であり、京極氏を作家と解釈する人間が居なくなってしまえば消えてしまう(残された作品による伝説妖怪 ?)」となる。即ち、「作家=妖怪」論であって、誠に妖怪作家らしい。

上で妖怪作家と述べたが、京極氏の作品中で実際に妖怪が登場したのは本作が初めてだと思う。上述した論「妖怪は人間の心の中に棲む」は従来の作品で繰り返し述べられて来た信条だが、今回はワザと妖怪を登場させる事に依って別の趣向で同じ思弁を述べたものだろう。その意味で、無個性・無来歴の「豆腐小僧」はピッタリの主人公であり、究極の妖怪である。鼎談形式の「妖怪馬鹿(京極氏による「豆腐小僧」のイラスト画あり)」と同様のノリで書かれており、やはり妖怪馬鹿のための本という事か。文中に「世の中に絶対的正義はない」とあるように、硬直した思考法を嫌う性癖が良く出ており、因果関係さえ解釈次第なのである。また本論の趣旨に従えば、人間が蒙昧・邪悪な概念を抱けば「途轍もない化け物」を産み出す可能性があるという警鐘にもなっている。結末の趣向も洒落ている。

各頁の最終行を文の終りで締める作法は常の如く。物語性が薄いのに結構スムーズに読み進められる。少々冗漫な気もするが、このダラダラ感が本作に相応しい。京極堂シリーズからは、「姑獲鳥」、「魍魎」、「邪魅」が客演し、狐、狸、猫などの化ける動物や達磨が活躍する等のサービス精神も旺盛。妖怪馬鹿がユッタリと楽しめる本だと思う。
豆腐小僧とは!? ★★★★★
一般的な感じでいうと豆腐小僧なる妖怪があるのかないのか、
わからない。

京極夏彦が妖怪を語ると豆腐小僧はそこに現れる。
確実に居る。

豆腐小僧現れてからドタバタとしながら、消える消えないの一悶着があるが、
結局のところ消えない。

それどころかどんどんと活躍する。
--豆腐を持っているだけなのに。

軽妙にして巧妙に語られる妖怪たちに、
耳を傾ける楽しみがある。

豆腐小僧による妖怪学事始! ★★★★★
なぜ妖怪が現れるか、そもそも妖怪は何なのか...そんな素朴な(マニアックな!)疑問に、笠をかぶった大頭で・中身空っぽのトリ頭で、間抜け面に舌をぺろりと出して、紅葉豆腐を盆に捧げ、あっちをうろうろ、こっちをふらふら、妖怪のくせに臆病極まりない豆腐小僧。人を脅かすことができないばかりか、自分が驚いてばかり、涌き出でた小屋を出ることさえ一苦労の、世間知らずの役立たず...でも、ほうっておけなくて憎めない、助けてあげたくなっちゃう豆腐小僧が、気のいい妖怪仲間や、悪賢い狐狸たちとともに繰り広げる珍道中。クライマックスにはなんと切った張ったの大活劇まで用意されている!はたして豆腐小僧の活躍や如何!
700頁の大部ながらどんどん読み進めます。一読後は、この世の不思議・怪かし一家言持てること請合い!...つくづくマニアックな本だなぁ...