著者は留学や英会話学校を利用せず,まったくの独学でネイティブと比する英語力を身につけたという人だそうで,第一部ではその半生が語られるが,はっきり言ってこの部分はどうでもいい。
読者の多くが興味あるのは第二部だろう。ここでは著者が実際に行なった(そのうちのいくつかは今も行なっている)勉強法で特に効果があったものが述べられており,非常に実践的である。本書に限らず,こういう先達の知恵というのは英語勉強者にとって(特に独学者にとって)一読の価値はあると思う。これらのすべてを自分で思いつくのは無理であろうし,自分で思いついたとしてもそれは「車輪を再発明する」のと同じことだからである。本書の独学法のうち,whispering,十指法,Pattern Practiceあたりが私にとっては特に目からウロコであった。
なお,第三部の表現集は上級者向けである。海外旅行やビジネスミーティングで困らない程度の英語力を目標としている人(これは,必要な労力と得られる成果を比べた場合,かなり現実的な目標だと思う)にとってはあまり役に立つようなものではないだろうと思う。