現時点の社会学辞典では最高峰
★★★★★
初版から十年以上経っているが、いまだ社会学の基礎を学ぶにはもっとも有効な字引。特徴としては、精神分析学、仏教用語、行政学、哲学、の領域も学際的にカバーしていること。その点は単純で読みごたえのない弘文堂『社会学辞典』の比ではない。読み物としても十分に価値あり。
しかしハイデッガーやフッコーが収録されている一方で、出版年(1993年)の時点で十分認知されていたはずの、デリダ、ドゥルーズ=ガタリ、エクリチュールらの独立した項目が存在しない点は少々アンバランス。だからといって社会学辞典としての本書の価値が大きく減ずるわけではないけれど。
付言すると、本書は新品での購入よりも、古書としておおよそ8000円以下で販売されていればそちらを選択するべき代物である。それは、前述のような未収録の項目がある点、そして新しい本に期待すべき現在形の事柄についてやや立ち遅れた印象がある点、を考慮する必要があるからだ。