美しいイスラエルの春夏秋冬
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写真がきれいで眼を引きますね。死海の色の青さ、砂漠の赤茶色、夕暮れ時の空のグラデーション、街中の子供達のかわいさ、エスニック料理の色彩の艶やかさなどなど、その多くは長くいる人ならではの写真であり、どれを見ても飽きることがなく、更なる好奇心を駆り立ててくれる感じがします。
彼女は今のイスラエルの日常があまり伝えられていないと思って、この本を上梓したのだそう・・・。確かに、イスラエルの日常がまさしくこの地で生活している彼女を通して伝わっていると思います。地元の友達との語らいとか、お店のおじさんや少年とのやりとり、捨て猫ちゃん達を拾ってからの彼らとの生活の一こま一こまを読むと、本当に何一つ特別なことが無い普通の生活が感じられました。全体として、ブログみたいな気安さが読みやすくしていますね。
ただやはりというか、日本ではなかなか考えられないことですが、一つの市の中に3つの宗教の聖地の存在とそれぞれの宗教に従った彼らの生活をいやでも意識せざるを得ないなと思いましたね。しかし、同時にそれを除けば人情とか生活観とかごくごく普通の人々の生活の営みがここにも有るのだというのが、良く伝わってきます。
しかしこの本を見た後では、去年年末〜今年初め頃に見聞きしたガザの空爆の深刻な被害が、余計に重く思い出されます。
いずれにせよ、この本に出てくるイスラエル一般庶民ののどかな生活の営みと、現にこの地に存在する紛争による犠牲者の苦しみとの対比を意識せざるを得ないし、それを思うととさらに和平を願わざるを得ません。
今回はあまりシビアな部分が出てきませんでしたが、この次は彼女なりの政治背景に関する著書も期待したいところです。