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もしも宮中晩餐会に招かれたら―至高のマナー学 (角川oneテーマ21)

価格: ¥1
カテゴリ: 新書
ブランド: 角川書店
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非日常世界からの招待状 ★★★☆☆
 この種の話題を扱った本は往々にして鼻持ちならない上流気取りや押しつけがましい説教が目立つため、少し身構えながら読み始めたのだが、書きぶりはむしろシニカルささえ感じる淡々としたもので、逆に拍子抜けした。
 ある日あなたに国賓をもてなす宮中晩餐会への招待状が届く。返事は? 服装は? 会場にはどう行く? 着いたあと、そこで待っているのは…?
 本書の特徴は、マナーを語りながらも必ずしもそれを絶対視せず、「マナーは時代と共に変わるもの」「禁則や形式でがんじがらめにすべきではない」という冷めた視点を保っていることだろう。これは、著者がもともと裏方としてサービスを提供する側(調理を担当する宮内庁の職員)だったためかもしれない。マナー以外にも、食器やテーブルセッティングの話、過去に出された料理のレシピ、時には100人以上の招待客への均一かつ迅速な給仕が求められる裏方の苦労話などもあり、個人的にはそうした内容の方が興味深かった。
 ただ、読んで感じるのは、本書にあるような晩餐会とはあくまで(主として外交上の)セレモニーであって、決して食事を楽しむ場ではないな、ということである。日常生活はもとより高級レストランの煩雑ささえ超越した非現実の世界。テーブルマナーや会食の手順も国際的なプロトコルに沿うように組み立てられており、レストランのものとは異なる。食事そのものを楽しむなら、著者の言う通り、普通に料金を払ってレストランに行った方が良さそうである。
 そういう意味では、本書に実用性を求めるべきではない。本書のテーマは「マナーを愉しむ」らしいが、実際に晩餐会に招かれる事などない我ら下々には、せいぜい雑談や創作活動のネタになる程度だろう。
 あるいは、鍋から直接インスタントラーメンをすすりながらしかも清閑を楽しむ心を養うための、一種の反面教師として読むべきなのかもしれない。
裏話的おもしろさ。でも「至高」のマナーなんて書いてないです。 ★★★★☆
おもしろくて一気に読みました。
晩餐会ならではの給仕方法やしきたりが書かれていて興味深いですし
料理好きなひとも楽しめる内容だと思います。

マナー学としては、まあ3点ぐらい? 「至高」と豪語するからには
誰もを魅了させるほどの会話術やお褒め頂く立ち振る舞いぐらいのことは
書いてもらわないと。

茶道では初めて招かれた茶道の心得がない方に
「隣のひとの真似をしてあとは楽しめばいい」とよくいいますが
まあ要はそれと似たような感じで初心者向けに書かれているわけです。
でも設定がおもしろいし、この方でしか知りえない裏話的な話もテンコ盛りです。
おすすめ。
ムダな本 ★★★☆☆
いいなぁ。こういう本。
もしも宮中晩餐会に招かれたら。

招かれません。

サブタイトルに「至高のマナー学」とあるから、これはマナーを学ぶ本なのかと思いきや、どちらかというと宮中晩餐会についての描写がギラギラしていて実用に生かすようなシロモノではないようだ。

ではなぜこんな本が書かれたのか。

おもしろいと思ったからじゃないか。

ただそれだけじゃないだろうか。

絶対触らせてもらえない、しかもデザインはイマイチでそういう勉強もできないすごい宝石のついた指輪を「すげぇーなー」と言って眺める。そんな感じ。

ムダな本。こういうのって、けっこうたまらない。

臨場感あふれる記述が楽しめる本 ★★★★★
常日頃フォークでサラダ(特にレタス)を食す度、
怒りにも似た戸惑いを感じていたのですが、
正式にはナイフも必要という事がわかり喉のつかえが取れました。
最後の一葉までサラダを堪能できるのなら、
究極の宴も悪いものはないのかもしれません。

・・・というような具体的なマナー話はともかく、

著者の自我を押しつけない品のある文章が素晴らしいです。
別世界ではあるものの、決して説教調にならずジェネレーションギャップを
感じさせない所が貴重な気がします。

「宮中晩餐会」という狂騒を笑い飛ばす感覚で読む痛快な読み物 ★★★★★
肌荒れを直すには生活改善がなければいかなる化粧品を塗っても効果がない。マナーについても同様で、この書では宮中晩餐会をたとえに出しているが、要は「付け焼き刃だと恥をかきますよ」ということなのだろう。こういうときこういうことを知らないとこういう恥をかいてしまいますよ、ということが書かれた本は意外に少ない。人間は人の失敗を意外に参考にする生き物だから(もっとも、それが効果的に活かせるかどうかは別問題である)、「宮中晩餐会」という狂騒を笑いとばす感覚でこの本を読むがよいだろう。読み物として読もう。