印象派の巨匠 モネが生涯愛した庭
★★★★☆
印象派の創始者とも言われるクロード・モネの人生を語りながら、彼が生涯愛し、丹精こめて育てあげた「ジヴェルニーの庭」の姿が写真で紹介されていますし、成り立ちが文章で記されています。
著者である写真家・南川三治郎によって、「ジヴェルニーの庭」の美しい佇まい、植物、花の数々が写真に収められていますので、花と庭の写真集としての役割も果たしています。本書のいたるところで百花繚乱ともいえるような自然を愛でたモネの視線が感じられるものでした。
モネは日本の浮世絵に大変な影響を受けました。彼の庭にも日本風の太鼓橋をかけ、藤の花をその上に咲かせたようです。
浮世絵のコレクションも相当なものですね、驚きましたが。家の中も浮世絵だらけで、洗面室、読書室、食堂には浮世絵しか飾られていないという徹底ぶりが本書によって見てとれました。
世界的に有名なモネの「睡蓮」もこの庭で咲いている睡蓮をモティーフに様々な光を取り入れながら描き分けた作品でした。すべてはここから出発しています。彼の「睡蓮」の連作をはじめとした静物画も掲載されています。
西洋絵画の好きな方には興味深いエピソードも並べられています。モネの生涯を辿りながら、彼が日本趣味に浸り、美しい庭を育てた意味合いも十分理解できました。