Hotel
価格: ¥1,423
さまよう一匹狼として、多幸症のレイヴからスピードメタル、アンビエントな音景を渡り歩き、近年のリチャード・メルヴィル・ホールは落ち着こうとしていて、そして充分にニッチだと証明を試みてきたかのようだった。表面上、『Hotel』は最近の2作、『Play』、『18』と同じ傾向を展開している。メランコリックな恋の歌で、エレクトロ・ポップ、ゴスペル、デヴィッド・ボウイの『Heroes』のような傾向だ。このノリは『Hotel』では、あおり立てるようなキーボードの音が決め手の「Beautiful」そしてきらめく楽天的な「Spiders」に見られるが、モービーが停滞していると言っているわけではない。まず、彼は「Why Does My Heart Feel So Bad?」で見られたような重ねたヴォーカルを勇敢にも捨てている。そして自分自身の抑えた、かすかに霊妙なヴォーカルに頼り、ローラ・ドーンとのデュエット、音を薄くしたシンセとドラム・マシンによるニュー・オーダーのカバー「Temptation」はローキーなハイライトだ。だが、モービーはレイヴのルートに回帰して、歌姫による打ち込みの「Very」、そして政治的な感じのする「Lift Me Up」も作っている。ブッシュ政権への軽蔑を隠し、ダークなカーニバル、そしてまとめ上げるようなストリングスとディスコ・ノワールのリズムの曲だ。(Louis Pattison, Amazon.com)