型にはまっていない、どちらかといえば武骨で簡素で……
先日亡くなった舟越保武さんの文章は、
その作品群と同じように、美しい静けさを持っている。
国語の教科書にも採用されていた、
戦後の貧苦の中で亡くした息子へ手向ける文章はせつない。
長崎の26聖人像なども有名だが、
やはり舟越作品の魅力は徹底的にリアルな聖女たち。
(モデル無しで作っているというのがまたすごい)
この本に入っているデッサンも必見。
ちなみに息子の桂さんは木彫の人気作家。
天童荒太作品の表紙などを飾っている。
桂ファンにとってもこの本は、ルーツを知る意味で楽しめるだろう。